【歌詞】あの夏が飽和する。 2021/09/26 15:17 Share on Facebook Copy URL Report 【歌詞】あの夏が飽和する。「昨日人を殺したんだ」君はそう言っていた。梅雨時ずぶ濡れのまんま、部屋の前で泣いていた。夏が始まったばかりというのに、君はひどく震えていた。そんな話で始まる、あの夏の日の記憶だ。「殺したのは隣の席の、いつも虐めてくるアイツ。もう嫌になって、肩を突き飛ばして、打ち所が悪かったんだ。もうここには居られないと思うし、どっか遠いところで死んでくるよ」そんな君に僕は言った。「それじゃ僕も連れてって」財布を持って、ナイフを持って携帯ゲームもカバンに詰めて、いらないものは全部壊していこう。あの写真も、あの日記も、今となっちゃもういらないさ。人殺しとダメ人間の君と僕の旅だ。そして僕らは逃げ出した。この狭い狭いこの世界から。家族もクラスの奴らも何もかも全部捨てて君と二人で。遠い遠い誰もいない場所で二人で死のうよ。もうこの世界に価値などないよ。人殺しなんてそこら中 湧いてるじゃんか。君は何も悪くないよ。君は何も悪くないよ。結局僕ら誰にも愛されたことなどなかったんだ。そんな嫌な共通点で 僕らは簡単に信じあってきた。君の手を握った時、微かな震えも既に無くなっていて誰にも縛られないで二人 線路の上を歩いた。金を盗んで、二人で逃げて、どこにも行ける気がしたんだ。今更怖いものは 僕らにはなかったんだ。額の汗も、落ちたメガネも「今となっちゃどうでもいいさ。あぶれ者の小さな逃避行の旅だ」いつか夢見た優しくて、誰にも好かれる主人公なら、汚くなった僕たちも見捨てずにちゃんと救ってくれるのかな?「そんな夢なら捨てたよ。だって現実を見ろよ。シアワセの四文字なんてなかった、今までの人生で思い知ったじゃないか。自分は何も悪くねえと誰もがきっと思ってる」あてもなく彷徨う蝉の群れに、水も無くなり揺れ出す視界に、迫り狂う鬼たちの怒号に、馬鹿みたいにはしゃぎあいふと君はナイフを取った。君が今までそばにいたからここまで来れたんだ。だからもういいよ。もういいよ」「死ぬのは私一人でいいよ」そして君は首を切った。まるで何かの映画のワンシーンだ。白昼夢を見ている気がした。気づけば僕は捕まって。君がどこにも見つからなくって。君だけがどこにもいなくって。