『まきもドリル』作・ギャスブレス 2021/05/20 23:18 Facebookでシェア URLをコピー 報告 『まきもドリル』作・ギャスブレス 『ひろし!まだ宿題終わってへんの?母ちゃん、あれほど言うたやないの!』夏の風物詩『怒り狂う母ちゃん』。話は1ヶ月前に巻きもどる。『今年の宿題は少なめにしといたぞ!』明日から夏休み。担任の先生がどこか楽しげに宿題を配る。国語・算数・理科・社会のドリルが一冊ずつ。読書感想文・工作と絵日記まで・・・。『少なめって、なんやねん。』小学五年生だって案外忙しい。習い事のサッカー、週三日の塾、子供会のキャンプ。宿題にかまっている暇などないのだ。夏休みカウントダウン、あと三日。宿題はほとんど手付かず。算数がキライなボクは、さっき初めて算数ドリルにさわった。プルルルル・・・突然携帯が鳴る。友達のあきおからの電話だ。『もしもし?おまえ、まだ宿題終わってないだろ?そうだろ?』『ああ?そうだよ、悪いか?』『それなら明日公民館に『ドリルじいさん』っていう、夏休みの宿題を見るプロが来るんやて。』『ドリルじいさん?』『略して『ドリじい』って呼ばれてるらしいで。無料でセミナー開いて全国をまわってるんやて。』うさんくさい話だけど、ボクは行くしかなかった。次の日、あきおと公民館へ。昔からある寂れた建物で、中にいるのは何の目的で来てるのかわからないお年寄りが二・三人。子供はぼくらしかいないようだ。二階の多目的室が会場のようだ。『ドリルじいさんの夏休み宿題セミナー』『セミ』の文字の上に『蝉』の絵が描いてあるポスターだ。『なんやねん・・・これ。』とにかく宿題を終わらせるためだ。ドアをノックしていざ教室へ。つづく