『ママは元・炭むす』つづき

『ママは元・炭むす』つづき
小さい時にパパの事を聞いた事があった。
『ママはパパが大好きでメロメロだったのよ。優しくて、人に元気をくれる人。だから、パパの子のあなたといるのが、ママの一番の幸せなのよ。』
ママはそう言ってくれるけど、僕はママから色んなものを奪って生まれてきたように思えてたまらないんだ。
ある日の夕方、玄関のチャイムが鳴った。ドアを開けてみると、スラっとした細い体、黒い帽子にサングラスの女性がいた。
『こんばんは、お久しぶりね、テンカくん。メロンは今いるかしら?』
大人気タレント小賀尾縁さんだった。
『母はまだ仕事で・・・帰りは十時頃になると思います。』
『そうなの・・・直接会ってお礼したかったけど・・・。私も次の仕事が入ってて・・・。』
少し考えた後、持ってた紙袋を差し出して
『じゃあこれ、お菓子なんだけど、メロンに渡してくれる?先日、私の母が病気で入院したの。メロンが色々と手伝ってくれたのよ。どうもありがとう。』
『あ・・・はい、ありがとうございます。』
ママがそんな事してたなんて知らなかった。
『メロンと色々、昔の話に華が咲いてね。部屋にあったこのCDをあげることになってたの。渡してあげて。』
ケースには【ラジオ『スッキリ炭酸むすめ!』】と書かれていた。
『じゃあ、よろしくね。』
『あっ、あの・・・』
帰ろうとした縁さんをひき止めた僕。
『ママは・・・アイドルのままの方が良かったんじゃないでしょうか?』
『ウフフ。ならCDを聞いてみて。』
『お次は、このコーナー!メロメロ相談室~♪今日のオハガキはこちら。』
『ラジオネーム、シーマさん。【僕は優柔不断で二つのものから一つを選ぶ事が苦手です。お二人はそのような場面に立たされた時、どうしますか?】』
『難しいわね・・・私もはあまり迷わない方だからね。メロンはどう?』
『私は・・・そうね。迷うなあ。考えて迷って。でも、自分が本当に好きで大切な方を選ぶし、選んだら絶対に後悔はしないわ。』
『メロンらしいわね。では来週も!』
午後十時
『ただいまー。あれ、まだ起きてたの?』
『おかえり。ママ、いつもありがとう。今からさ・・・メロンソーダ飲まない?』
おしまい                                                  

やっぱり難しいな(-_-;)

댓글