『まけないもん』つづき

『まけないもん』つづき
『気にしないでゆっくりしてってね。』
『かっ・・・かたじけない。うっ、うまい!』
アツアツのおそばが冷えた体をポカポカにしてくれます。男の子は、あまりの美味しさにあっという間にたいらげました。
『ちそうになった。この世で一番うまいそばであった。この礼は必ずする。ありがとう。』
『またいつでもおいで。』
深々と頭を下げて店を出た男の子でした。
数ヶ月後、『おそば・えん』の前に豪華な金の装飾を施したカゴがやってきました。何事かと店の外に出たおたきとおあき。となりのみゃっさんも見にきました。
なんとカゴの中から出てきたのは、日本で一番えらい殿様でした。そして、続いて出てきたのは、雪の日の男の子。彼の正体は殿様の息子である若様でした。
『お主たちがおたきとおあきか?』
『はっ、はい。』
『以前、若が城を抜け出してしまった事があってな。そこでそなた達に【この世で一番うまいそば】を馳走になったと聞いた。今日はその礼に参ったのだ。』
家来達がほうびの入った大きなつづらを次々におたき達に渡しました。
『いえ、私達は当然のことをしたまでです。受け取れません。』
『まあ、そう言わずに。それよりも私もぜひともそのそばを食べてみたいのだ。』
『はい、今すぐ作って参ります。』
こうなるとみゃっさんが黙っていません。
『殿様、ワシの店のそばこそ、日本一うまいそばですので、お召し上がり下さい。』
『残念だが、私が食べたいのはこの世で一番うまいそばだ。だが、お主にもほうびをやろう。』
『おおっ、殿様!ありがたくいただきます‼️』
『ほれ、足らなかった一文じゃ。』
まけず嫌いのみゃっさん。あの時もしも『まけて』いたら、このお話、はたしてどうなっていたのでありましょうか。おしまい

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